こんにちは。妄想ロンドン会議のMizです。
2013年に初渡英、以来ロンドンの魅力の虜となり、相棒のSinと共に神戸の片隅から日々ロンドンカルチャーについて語るPodcastを配信中です。
先日、「はじめてのロンドン旅、ホテルはこう選ぶ【迷わず決められます】」という記事をUPしました。
その記事の中で「初めてのロンドン旅行でできれば(ホテルを取るのに)避けたいエリア」というのを紹介させていただいたんですね。
そのエリアとは…
- Hackney(ハックニー)
- Brixton(ブリクストン)
- Elephant & Castle(エレファント&キャッスル)
の、3エリア。日本語のサイトで「危険な場所」としてよく紹介されている地名です。
軽くご紹介させていただいたものの、これから初めて渡英される方が読んだら
「その地区って、危険度はどのくらいなの? 一歩も近寄っては行けないの?」
「ExpediaやBookin.comなどのホテル予約サイトには、その地区のオシャレなホテルが安価でたくさん掲載されているけれど、泊まらない方がいいのかな…?」
と、不安な気持ちにさせてしまったのではないか、と気になっておりました。
実際、わたしたちは上記の地区にも足を伸ばしており、また、近隣にお住まいの日本出身の方も大勢いらっしゃいます。
この記事では、実際に上記の地区を訪れた時の印象をお伝えすると共に、わたしの心に新たに芽生えた「本当に危険な地区ってどこなんだろう?」という疑問を深掘りしつつ、最後に、ロンドン警視庁による「ロンドンで最も犯罪が多い地区(2017-2018調べ)」を発表させていただきます。
さて、ここで、ロンドンに親しみのある皆さんに問題です。
このロンドン警視庁発表の「ロンドンで最も犯罪が多い地区」は、どこだと予想されますか?
それは、とっても意外な場所でもあり、ごもっともな場所でもありました。
ぜひ、考えながら、想像しながら、読み進めていただけると嬉しいです。
※この記事は2018/12/18配信のPodcast「第225回:ロンドンの本当に危険な地域ってどこだ!?」を再構成したものです。
もくじ
危険と言われるエリアその1:「Hackney(ハックニー)」

Hackney(ハックニー)は、テムズ川を挟んで北側、シティよりも東のエリアになります。ショーディッチ・ホクストンなどが含まれ、ホワイトチャペルやブリックレーンに隣接しています。
この辺りは、ほんの十年前までは犯罪が多発する貧困地区だったそうです。ニューヨークのハーレム地区に匹敵するともいわれた、恐ろしいエリア……。
でも今は新進気鋭のアーティストが集まるおしゃれエリアに大変身。ショーディッチは特に、色鮮やかなストリートアートが多い地区でもあります。
ホクストン・スクエアやブリック・レーン・マーケット周辺では、あの有名な覆面芸術家・バンクシーの作品も見られるとか(見てみたい!)。
わたしたちは、ダルストン・キングスランド駅を起点に、ショーディッチ地区を南下。ぶらり散歩しながら、街の雰囲気を楽しみました。ほんの数十メートルしか違わないのに、街の雰囲気がガラリと変わってゆく様には驚かされました。
感想:右を見ても左を見ても、オシャレが過ぎる街でした。「ロンドンに住むなら、絶対ここにする」と思ったほど。ファッション・音楽・アート・フードなど、インディーズからハイブランドまで、ジャンルを問わず尖った感性を持った人や企業が集まる街は、意外にも静かで落ち着いた雰囲気でした。
ここに住みたい度:★★★★★
危険と言われるエリアその2:「Brixton(ブリクストン)」

テムズ川を挟んで南側、地下鉄ヴィクトリア線の終着駅であるBrixton(ブリクストン)は、カリビアンやアフリカ系の移民が多いエリアです。
こちらも数年前まではロンドンで最も危険な地域と言われていましたが、最近、アーケード付きのマーケット「Brixton Village(ブリクストン・ヴィレッジ)」がリニューアルされたことなどをきっかけに、ロンドン東部と同様、オシャレに敏感な若者が集う街として注目を集めています。
実は、こちらはデヴィット・ボウイさんの出身地でもありまして。
わたしたちはBrixtonでしか使えない地域振興券(デヴィット・ボウイさんがデザインされてるー!)を買うために、この地を訪れました。
感想:南の地区を訪れるのは初めてだったわたしたち。ちょっと緊張しながら向かったものの、いわゆる「ステレオタイプなロンドン」は全く感じられない、カラフルでエネルギッシュな街並みにワクワク。ほんの数時間の短い滞在だったので、今度はゆっくりブリクストングルメを味わいたいなとリベンジを誓いました。
また訪れたい度:★★★★★
危険と言われるエリアその3:「Elephant & Castle(エレファント&キャッスル)」
Elephant & Castle(エレファント&キャッスル)も、Brixtonと同じくテムズ川の南側に位置する、カリビアンやアフリカ系の移民が多いエリア。ちなみに、英国俳優のマイケル・ケインさんはこのエリアのご出身だとか。現在、巨額の費用をかけて都市開発が行われています…!
こちらのWebサイトをご覧ください。


かわいい! カラフル!( 本当にピンクの象がいる……!)
Elephant & Castleにはまだ足を運んだことがないのですが、地下鉄のZone1圏内にもかかわらず家賃が安いとあって、日本人の学生も多く住んでいると聞いています。一度は訪れてみたいエリアです。
次回ぜひ足を運んでみたい度:★★★★★
何を「危険」とするのか、それが問題だ。
以上、危険と言われる3エリアを、わたしの主観を多分に交えてご紹介させていただきました。
「あれ? 全然危なくなさそうじゃない…? 結局、危険なの? 安全なの? どっちなの?」
そんな声が聞こえてきそうですが……
そうなんです、こちらの3エリアは、実際、日本人の方が執筆されている多くのサイトで「危険」「避けた方がいいエリア」として載ってる一方で、「最近は治安が良くなって来た」「魅力的なエリア」としても紹介されています。
比較的家賃が低い地域は若いアーティスト等が集まり、面白い街になって行く。その後に、もう少しお金を持った層が「お金を払ってでも面白い街に住みたい!」と集まって来て、更に街が発展していく。それが、上に挙げたような「かつては危険とされていた」街の現在の姿なのではないかと思います。
そう、海外旅行において(日本もですが)完全なる「安全」はありません。
夜遅く出歩かない・人通りの少ない路地には近寄らない・貴重品の管理には気をつける、などは、どのエリアにいても、旅慣れていたとしても、常に心がけるべきことです。
そういう意味では、慣れない初めてのロンドン旅、日が暮れてから帰ることも予想される中、「安いから」という理由だけで上記エリアに宿を取ることは、わたしはオススメしません。(もちろん、目的を持って「ここに訪れたい!」という気持ちがあるのなら別です)
“何を「危険」とするのか” は、人によって本当に様々。100人いたら100通りのロンドン旅があるんですよね。
「危険」とされる地区はどんどん変わって行く
さて、上記の地区はわたしが日本語のサイトで仕入れた情報になります。
日本人の印象だけではなく、世界の、生の声も気になりませんか?

各種イシューでトップ10を決めるサイト「The Top Tens」によると、「Most Dangerous Places In London(ロンドンでもっとも危険な地域)」は
- 1位:Peckham(ペッカム)
- 2位:Brixton(ブリクストン)
- 3位:Tottenham(トッテナム)
とのことでした。
おお。やはり、日本語のサイトでよく見かける地域とは違いますね。(Hackneyは6位、Elephant & Castleの記載は無し)
時代によっても変わっていくし、住んでいる人や訪れる人によっても変わっていくんですね。
この中でも個人的に興味深かったのは、「危険」とされる口コミの中に
この地に住んでいる者です。わたしは、この地に住み、多様な文化・コミュニティに触れられたことで、自分の世界が広がりました。メディア内のこの地域に関する描写は偏っていて、真実では無いと感じています。否定的なコメントを読んで涙しています。
https://www.thetoptens.com/most-dangerous-places-london/
というコメントがあったことです。
上記で紹介したような地区にも、わたしたちと同じく普段の生活を営んでいる人々が住んでらっしゃるんですよね。
そのことを忘れず、訪れたいものです。
「犯罪率が最も高い地域」はどこだ? 〜ロンドン警視庁調べ〜
ここまでくると、ますます気になりますよね。
「正直、犯罪率が一番高いのはどこなんですか!?」
と。
エビデンスください!と。
ということで、お待たせしました。
いよいよ発表です。
ロンドン警視庁(スコットランドヤードの愛称で親しまれております)の、2017年6月から2018年6月までのデータによると、ロンドンで最も犯罪の多かった地域はどこだと思いますか…?
ハックニーでしょうか?
はたまた、ブリクストン?
それとも、ペッカム…?
・
・
・
・
・
それは、”City of Westminster”
そうです、ロンドンの中心地。
観光名所が立ち並ぶ、あの、ウェストミンスター地区です。

参考 Which London boroughs are the most dangerous?METROロンドン警視庁のデータによると、2017年6月から2018年6月の間に、ロンドンで最も犯罪が多かったのはウェストミンスター地区だった。ウェストミンスター地区では、この間に63,204件の刑事犯罪が報告されている。〜中略〜 このうち、殺人、暴行、ひどい身体的被害を含む人身犯罪に対する報告は4,351件。しかし、ウェストミンスターでは5件の殺人事件しか報告されておらず、13人がサウスウォークで殺害され、12人がニューハムで殺害された。
https://metro.co.uk/2018/07/31/london-boroughs-dangerous-7782297/
ウェストミンスター地区では、なんと年間で63,204件もの犯罪が報告されているそうです。
世界中から観光客が集まる場所ですから、当たり前といえば当たり前、ごもっともな結果です。
実際わたしたちも、2015年の渡英時に「偽警察官詐欺」の被害に遭っています。
観光客を狙った犯罪は、わたしたちが最も注意しなければならないことのひとつではないでしょうか。
もし、犯罪に巻き込まれてしまったら…?
これから英国やその他海外に出かける予定のある方は、予め、旅先の日本大使館の安全情報をしっかりと読み込んで行きましょう。
参考 ロンドン安全対策マニュアル在英国日本大使館何か起きたときのための緊急連絡先(英国の場合)は次の通り。
▷警察・消防・救急:999(緊急時)
▷警察・消防・救急:101(緊急ではない時)
▷在英国日本国大使館:020 7465 6500
緊急連絡先はスマホに登録しておくことをオススメします!
さいごに
どの国にも「絶対安全な地区」は、ありません。正しい知識を身につけて、自分の身は自分で守りたいものですね。
ここまで、妄想ロンドン会議のMizこと水口美佳がお送りしました。
また次の記事でお会いしましょう。
よきロンドン旅を!


「妄想ロンドン会議」ツイッターでは、このブログの更新情報やロンドン情報を発信中です。よかったら是非フォローしてください!
https://twitter.com/mosolondon