妄想ロンドン会議

今すぐにでもロンドンに飛び立ちたいふたりが、現実には行けない今週のロンドン旅行プランを妄想するWEBサイトです。

Podcast 第49回を文字起こし:【ネタバレ】NTL『橋からの眺め』レビュー(1)

1年前の投稿
By
この記事は、Miz & SinのPodcast「妄想ロンドン会議」の気ままなおしゃべりの中から、特にアクセスの多かった回をテキストで読めるように文字起こししたものです。ある時は激しく・ある時はゆるくマイペースに語られる、さすらいの女子二人組による本音トークを、収録時の雰囲気そのままにお届けします。
Podcast 第49回を文字起こし:【ネタバレ】NTL『橋からの眺め』レビュー(1)

今回文字起こししたエピソードはこちら。

それでは、文字トークスタート!

妄想ロンドナー イン ジャパンのみんなが心待ちにしていた、我らのマーク・ストロングさん主演・NTL『橋からの眺め』がとうとう日本上陸!

Miz 今すぐにでもロンドンに飛び立ちたい二人が、現実には行けない今週のロンドン旅行プランを妄想します。このポッドキャストでは、実際にロンドン旅行に行くまでがワンシーズンです。それまでインターネット上や雑誌に溢れるロンドン情報を駆使しながら妄想旅行をすることで、実際のロンドン旅行をより充実したものにするのが目的です。では、第49回妄想ロンドン会議を始めます。水口です。

Sin 清水です。

Miz よろしくお願いします!

Sin もう49回になると、冒頭文はプロやね。

Miz (笑)。これ一応、書いてあるやつを読みながら言ってますけど。

Sin まだ読んでんの? もう覚えてるくせに。

Miz 読んでるよ。

Sin 全然余裕やろ?

Miz 意味も分からずぼーっとしてても言えるようにはなったよね。

Sin (笑)。いいんかな。

Miz 意味も分からずね。

Sin これを49回も聞いたんかって感慨深かったから。

Miz 本当に? 毎週毎週ね。そうですよ。

Sin 50回に向けて何か企画を練らななってぼんやり。

Miz あぁー。そんなこと考えてもいなかったけど。そうやね、次回で50回やもんね。

Sin なんかちょっと、嬉しいね。

Miz 何か記念らしいことをしたいね。

Sin 記念らしいことをね(笑)。

Miz そうやね。はい(笑)。

Sin まぁ、追い追い考えます。

Miz 「追い追い」て、次やから。

Sin あ、そんな暇ない?

Miz というわけでね、今日は4月の9日。

Sin 入学式かな?

Miz いや、土曜日やから。

Sin あ、ほんまや! 入学式どうなったんやろ?

Miz 昨日とかじゃないん。

Sin あ、そうか。

Miz ま、全国のね、妄想ロンドナーたちは……。

Sin それ、ロンドンの人が妄想してるみたいやから。

Miz 妄想ロンドナー イン ジャパンの人たちは、この4月8日という日を心待ちにしていらしたことだと思います。

Sin はい。

Miz 何故かというと、我らのナショナルシアターライヴの2016年第3弾、『橋からの眺め』!

Sin 我らのマーク・ストロングさん主演でね。

Miz そうです! 俺たちのマーク・ストロング。

Sin 大人気だよね。

Miz もうね! ま、そんな方いらっしゃらないと思いますよ? いらっしゃらないと思いますが、マーク・ストロングさんがどんな方なのか説明してくれる?

Sin ハゲ。

Miz ……ひどいよね。

Sin (笑)。あんな格好良いハゲはね、知らない。

Photo by Uli Weber. http://www.youngvic.org/whats-on/a-view-from-the-bridge

Photo by Uli Weber. http://www.youngvic.org/whats-on/a-view-from-the-bridge

Miz あの、日本ではハゲっていうジャンルがね、あんまり突出していないというか、ネガティブハゲな感じが多いと思うんですけど、あの、ポジティブハゲ。

Sin ベン・キングズレーさんとマーク・ストロングさんのあの思い切りの良さと、あの、何かの時に被ってはる時の違和感。

Miz (笑)。ハゲという特性を利用して、様々なものを被られるんですよね。長髪からちょいハゲ鬘まで。そのヴァリエーションは本当にたくさん持ってらっしゃいますけど。

Sin もさっとしてる時は、まぁそれはそれで格好良いなって思うねんけど、『裏切りのサーカス』の時の……。

Photo by Jack English - © 2011 Focus Features

Photo by Jack English – © 2011 Focus Features

Miz 格好良いよー!

Sin ……うっすらな感じは……。

Miz もう地毛なのか何なのかよく分かんない。でもあれ、ヅラだよね。

Sin うん。一瞬、君はどこへ行きたいんやって思ってしまうけど、もうそれで夢中ですよ。その時点で目が話せない。

Miz そうですね。ただのハゲの人と言われるのは、私はちょっと。

Sin いや、世界一格好良い三大ハゲ。あとジェイソン・ステイサムさんね。とベン・キングズレーさんとマーク・ストロングさん。

ジェイソン・ステイサムさん↓

http://www.menshealth.com/

http://www.menshealth.com/

ベン・キングズレーさん↓

rachitsharma.com

rachitsharma.com

Miz あ、それ三大いっとく?

Sin 今いこうかなと。決めた。

Miz 私、一応ジャパンにもポジティブハゲ俳優の方いらっしゃるんですけど。カツミね。高橋克実。

高橋克美さん↓

http://cyclestyle.net/

http://cyclestyle.net/

舞台ではこんな! 『シレンとラギ』トレイラーより、極悪非道の王様。マジでカッコイイ!
TVで観たことのない彼がそこにいる! あなたには、どれがカツミかわかりますか…!? ↓

Sin あ、素晴らしい。でもあれは、どっちなんやろね。

Miz ポジティブハゲだよ。

Sin ナチュラルなんじゃないん?

Miz ナチュラルハゲ、かつポジティブハゲだよ。

Sin (笑)。ポジティブな感じはする。

Miz めっちゃ格好良い。舞台のカツミはね、超格好良いよ。

Sin そうねー。

Miz ちょっとね、テレビとかだとちょっと。

Sin ま、三枚目なね。

Miz そう、三枚目キャラではありますけど。まぁ二枚目!

Sin 素敵なおじさま。

Miz そうです。そんな素敵な……。もう、なんやねん! ハゲてなんやねん!
そんなんじゃない。もっとさぁ、『裏切りのサーカス』とか『キック・アス』とかさ。『キングスマン』とか。もうちょっと……。

Sin 『グリーン・ランタン』とか。

www.imdb.com

www.imdb.com

Miz う……うん。もうちょっとさ、出演した作品をさ。

Sin いや、もう多すぎて。

Miz 『キングスマン』ではマーリンね。

Photo: Jaap Buitendijk - © 2014 - Twentieth Century Fox Film Corporation

Photo: Jaap Buitendijk – © 2014 – Twentieth Century Fox Film Corporation

Miz 『キック・アス』ではお父さん。

www.imdb.com

www.imdb.com

Sin レッドミストのお父さん。

Miz 格好いいよね。

Sin あれ渋いよねー。あんなバカな映画なのに渋いよね。

Miz めっちゃ格好良い。で、『裏切りのサーカス』では、最初に殺される人。

Sin ……。

Miz ネタバレは言わないよ! 最初に殺される人。

Sin そうですね。冒頭に出てくる人ね。

Miz とにかくですね、こんなふざけた紹介の仕方してますけども。

Sin こんな失礼なこと言ってすみません!

Miz そうですよ。世界中で大人気の、実力も格好良さも兼ね備えたスーパー俳優のマーク・ストロングさん主演の『A View from the Bridge』。

Sin 『橋からの眺め』。

Miz これのですね、NTLの2016年 イン ジャパンの第3弾ということで、ただいま上映中でございます。来週の水曜日まで。

悪いことは言わない。観に行けるなら今すぐ映画館へGO!

ntlive.nationaltheatre.org.uk

ntlive.nationaltheatre.org.uk

Sin あの、最初に言っときます。観に行ったほうがいいです。

Miz そうやね。しんちゃんも私も今日観て来たんだよね。

Sin はい。いっぱいやったよ。

Miz どこで観たん?

Sin 大阪。

Miz 私、西宮。

Sin 西宮はちっちゃいとこ?

Miz いや、大きなっててん。

Sin あ、やっぱり大きなってる?

Miz そうやねん。広なっててびっくりした。

Sin 私も今日、梅田で別館飛ばされた。

Miz あー、あの見にくい別館ね。

Sin だからちょっとね、条件は良くなかってんけど。

Miz 昔ながらの見上げるね。

Sin 上にシャンデリア吊ってあるとこ。すごい大っきい劇場やった。

Miz 西宮はそんな大っきなかったけど、でも前の小さいところからはステップアップしてました。

Sin あのプレミアムシアターじゃなくなったん?

Miz なくなった。だから椅子は普通になっちゃったんですけど。

Sin 3000円も払ってるのにね。

Miz そうです(笑)。なんですけど。でも増えてたよ、お客さん。っていうか『犬(夜中に犬に起こった奇妙な事件)』が特に多かったから、『橋』を大きいところにしはったんかなーって。劇場さんがね。

Sin そういう感じするね。着実に増えてはいってるのと、本当に慣れてる方が多くなってるなっていうのは、映画が終わった後のNTLのロゴで立つ人の多さですごく分かる。今日もザラーって帰りはった。

Miz 私も自然と立った。

Sin これ見んでええやつやっていう人の多さ。

Miz はい終わりーって。まだね、劇場は暗いままなんだけど、NTLのロゴが煌々と。

Sin で不条理に長いっていうね。

Miz みんなそこで帰ると、そういう流れに最近なってきてはいますけど。

Sin 恒例行事にされてる方も多いんだね。

Miz キャリーバッグ持って観に来てはった方もいらしたんで、遠征して来られてるんじゃないでしょうかね。すごい少ないじゃない、上映館が。

Sin 言っても都心に限られるかな。

Miz 関西に住んでてありがたいことやなと思うけれども。

Sin 二つ三つあるからねぇ。

Miz ほんまに、今日もいつもの如くネタバレ満載の感想をお話ししようと思うんですけど、その前に。今日9日でしょ。これすぐにアップしようと思うので、上映中にこれ聞かれた方で「そういえばちょっと気にはなってるけどどうしようかな」と思われた方がいらっしゃるのなら、是非是非ここでスイッチをオフにして、劇場に観に行って欲しいです。これはもうほんまに。

Sin うん。素晴らしい演劇的な……。

Miz そうやね。もうこれ毎回言ってるけど。特に前回の『夜中に犬に起こった奇妙な事件』のレヴューで、「こんなに演劇体験として幸せなことはない」という私たちの感想ではありましたけど。この『橋からの眺め』、まーぁこれも演劇ー!
です。もう演劇でしか味わえない濃密な2時間。

Sin 「ならでは」の醍醐味がてんこ盛り。

Miz 作品自体はね、アーサー・ミラーさん。

Sin もう大御所中の大御所。

Miz ね。1955年に書かれた作品で、もう何回も至る所で、日本でも上演されてましたけど。各地で上演されている本当に有名な脚本なんですよね。なので、脚本的に目新しいところっていうのは一切ないんですけども。……一切ないって失礼やな。まぁ、今ここで取り立てて言うことはないんですけども。でも、このプロデュースされてるヤング・ヴィクシアターのプロデューサーの方が冒頭にも喋ってましたけど、とにかく世界中飛び回って見つけ出した素晴らしい演出家ということで、このイヴォ・ヴァン・ホーヴェさん、オランダの方なんですよね。

Sin 余り馴染みのない響きで覚えにくいけど。

Miz えとね、ベルギーのアントウェルペン州出身のオランダの演出家さんだそうですよ。

Sin うん。ややこい(笑)。

Miz で、この方の作品を私、初めて拝見しましたけれども、もう「こいつすごい!」っていうのをいろんな方向から聞いてましてね。で、あれも演出されてたのよね、同じアーサー・ミラーの『るつぼ』。

Sin 誰が主演のやつ?

Miz ベン・ウィショーさん。

Sin あ、今やっとるやつか。

Miz 今なのかな。ちょうど今?

Sin ブロードウェイで今やっとるよね。

Miz 今ブロードウェイなんや。これも演出されてる。これもまぁ、まぁ評判の良い。

Sin すごいよね。

Miz もう素晴らしい演出家やということで。60年前に書かれた半古典的な。

Sin ド定番よね。

Miz ド定番。シェイクスピアとまではいかないですけど、よく上演されている定番の作品を一体どんな風に新しく見せてくれるのか。どこに焦点を当てて見せてくれるのか。それをすごい楽しみにして行きまして。もう私は、あるワンシーンに釘付け。たぶん同じとこやと思うねんけど、しんちゃんも。あ、因みに私もしんちゃんも感想を深く語り合ってない状態ですんで。

Sin それぞれ観て、さっき会いました。

Miz ので、私はあの濃密なね、5人の会話の、あんな怖いシーン。

Sin あれね。

Miz あれ。しかも……。

Sin っていうお話をどんどんしていくので、ほんっとに劇場にまず行ってください!

Miz そうなんです! そこは観て、「これかー!」って思うんで。一つだけ言っておくと、演出とは、その見え方だったりとか目に分かりやすく見えるもの、耳に分かりやすく聞こえるものの目新しさを評して、新しい演出とか素晴らしい演出とかっていう風に評価されることが、まぁ分かりやすく多いですけども。今回の彼の演出っていうのは、「その脚本のそこの部分にそうやって焦点を当てるんですか」っていう、心理的な表現の仕方の新しさっていうのに、私は心を打たれました。ね?

Sin すごかったね。

Miz すごかったー。本当にすごかったので、ほんまにほんまに……。

Sin というわけで、まだご覧になられてない方は、ちょっとしばらく後でお会いできればと思います。

Miz 観てください。で、たぶんこれ、たぶんやけど、今回の上映期間に観に行けなかったとしても、東京だったらおそらく再上映がね。

Sin あると思う。すごい力を入れてらっしゃる劇場さんあるので。

Miz って思いますので、ぜひ探して。ね、このポッドキャストもいつの段階で聞かれてるか分からないのでね。今回上映に行けなかった方は再上映を狙って今すぐ足を運んでいただきたいな、と思います。そんな感じ?

Sin うん。ではみなさん! みなさん違う(笑)。

Miz (笑)。

Sin またご覧になられた後でお会いできればと思います。

Miz はい。じゃあ観てない方、ネタバレ禁止の方は、スイッチオフ!

<これより完全ネタバレです。ご注意ください。>




これぞ演劇の醍醐味! 『犬』と真逆な『橋』演出。

ntlive.nationaltheatre.org.uk

ntlive.nationaltheatre.org.uk

Sin ……はい。すごかったね!

Miz すごかったー。ほんますごかったー。ヤバいな。

Sin なんかねー、あんなシンプルなことをシンプルに見せてるのに、こんなに目の離せない2時間ちょっとってすごいなって思う。

Miz ほんまね。

Sin 取り立ててトリッキーなことをするわけでも一切なく。

Miz そうだね。

Sin 本当に、どちらかといえば日常会話が綴られていく2時間なのに、あんなに吐きそうになるって。ギリギリして、もう今すごい疲れてる。

Miz トリッキーなって言ったら、同じく普遍的なというか何の変哲もない日常というものをトリッキーな演出を使って鮮やかに描いたものが『夜中に犬に起こった奇妙な事件』だとすれば。

Sin そうね。

Miz こちらもただの会話劇を極限までシンプルな演出に落とし込んで、そうすることで見せる演劇の奥深さ。

Sin だから『犬』と真逆やなーって。

Miz 真逆。でも描きたいことの本質の部分っていうのは、演劇的な本質はどちらも一緒で。まぁこんなすごい作品をね、ただのロンドン演劇ファンだけに観せてちゃもったいないよと。私らが行ってる場合じゃないよね。もっと観に行こうぜ高校生たち、とか中学生たち。

Sin あれをそういう時代に観たら、また今、私たちが観るものと感性が違うから。

Miz 違う違う。

Sin 受ける衝撃が違うよなって思った時に、あれを観た人生ってなんて素晴らしいんだろうって。

Miz 若くして観たら感じるところ違うやろうし、逆に物語の流れだったり時代背景が難しいかもしれへんけど、そんなことじゃないやん、みたいな。

Sin 違うね。人間ドラマだね。そら賞取るわ。

Miz そうなんです! これね、私たちの取り止めもない感想から始まってますけど、この作品の紹介でもしましょうか。

Sin はいはい。

時代を超えて上演され続けてきた、愛すべき作品。

Youngvic theatre 出典:http://exeuntmagazine.com/

Youngvic theatre 出典:http://exeuntmagazine.com/

Miz これはですね、2014年の4月から6月にウェストエンドのヤング・ヴィクシアターっていうね、ご覧になった方は見たかと思うんですけど、本編の前に紹介がありまして。

Sin どっちかっていうとヤング・ヴィクシアターのプロモーションビデオみたいなね。

Miz そうそう。「僕たちこんな尖った劇場だぜ」ビデオみたいなやつがあったかと思うんですけれども、その尖った劇場で初演されたやつが評判が良かったから、今度は2015年、翌年の2月から4月に同じくウェストエンドのウィンダムズシアターってところに場所を移して上演されて。その2015年の10月から、もうついこの間、2016年の2月まで、ブロードウェイのリセウム劇場ってところで上演されたという。

Sin 大人気だね。

Miz そうなんですねー。

Sin こんな次々に劇場変えてまで再演するなんて。

Miz だから、ブロードウェイとかでもそうだけども、小っちゃいオフブロードウェイから始まった作品がね。

Sin ステップアップして、集客もっと見込めるでって。話題が話題を呼んじゃってっていう、演劇的サクセスストーリーの一番いい形やね。

Miz そうだね。それでですね、この2015年、第39回のローレンス・オリヴィエ賞、ロンドン演劇界で最も権威ある賞と言われていますけども、これのですね、リバイバル作品賞、演出賞、主演男優賞、この3つ獲得しています。因みに助演女優賞もノミネートされてて、受賞ならずではありましたけども。

Sin ちょっとそれ補足していい? 面白くて調べちゃった。ベストリバイバル賞が2010年にもノミネートされていて。

Miz 同じ作品が?

Sin この『橋からの眺め』が。だから本当にこれがどんだけ愛されてるかって話やねんけど。その時に主演されていたのは『ホビット』のバーリンさん。

Hayley Atwell and Ken Stott in A View From the Bridge. Photograph: Tristram Kenton/Guardian

Hayley Atwell and Ken Stott in A View From the Bridge. Photograph: Tristram Kenton/Guardian

Miz 『ホビット』のバーリンさん! ……どの人?(笑)

Sin バーリンさん。

Miz どれよ(笑)。

Sin おじいちゃんの人じゃないかな。賢そうなおじいちゃん。

www.thehobbit.com

www.thehobbit.com

Miz 白ーい人? あれ、バーリンやったっけ?

Sin かな。ちょっとそれは……調べてください(笑)。

   (※エディを演じられてたのはケン・ストットさん。『ホビット』のバーリンは白髪・白髭で一行の中の年長者。とても聡明なドワーフさんでした。上の画像の左から三番目の方ですね!)

Miz ちょっと待って。私『ホビット』しか知らんから、あのバーリンの方。「え、あんな小っちゃいのに?」って思ったけど(笑)。

Sin ちょいちょいちょいちょい。

Miz それ違うよね?

Sin それ騙され過ぎ。

Miz 騙されてるの? あ、ほんまに? あ、そう。

Sin で、さらに過去に遡ると、マイケル・ガンボンさんが1987年に同じく『橋からの眺め』でノミネートされていて、なんと受賞されております。

Miz あらまぁ。

Sin すごいよね。

Miz ガンボンさん。

Sin そういうの聞くとやっぱ観たくなっちゃうけどね。それはもう叶わないので。

Miz 叶わぬことなのでね。そうなん、面白いね。

Sin あと、今『エージェント・カーター』に主演されているヘイリー・アトウェルさんとかもノミネートされてる。

Miz それは何? 『橋からの眺め』で?

Sin 姪っ子ちゃんの役で。

Miz そっちか。

Sin もうこれみんな大好きな作品なんだなと。

Miz 愛されてる作品なんでしょうね。

Sin やし、その演劇的な腕前……? 違うな。技量? をすごく試されるお芝居なんだろうなーと。

Miz 日本で言ったら例えば『トランス』みたいなことなんじゃない? 鴻上尚史さんの。

Sin そうね。少人数ですごく濃密な演劇をするっていところではそういうイメージかもしれないね。

Miz それくらいかな、思い浮かぶのって。ちょっとちゃうけど。

Sin そうね。でも似てるっちゃ似てるのかな、イメージ。

Miz このオリヴィエ賞39回ね、『橋からの眺め』が最優秀リバイバル作品賞取った時なんだけども、結構すごいラインナップなんです。同時ノミネートされていたのが『欲望という名の電車』、『スカイライト』、そして『るつぼ』。

Sin もうこうなったら『るつぼ』めっちゃ観たいな!

Miz (笑)。そうでしょ? この時の『るつぼ』はリチャード・アーミティッジさん。

Sin やんな?

Miz 主演男優賞にノミネート。

Sin 『るつぼ』もすごいやられてるからね。

Miz そうそう。リチャード・アーミティッジさんも主演男優賞ノミネートされてまして、あとジェームズ・マカヴォイさんも『The Ruling Class』……っていう知らん舞台(笑)。

 ‘Devilish charm’: James McAvoy (centre) finds teatime a drag with Forbes Masson and Paul Leonard in The Ruling Class. Photograph: Johan Persson

‘Devilish charm’: James McAvoy (centre) finds teatime a drag with Forbes Masson and Paul Leonard in The Ruling Class. Photograph: Johan Persson

Sin それ知らんなぁ。悔しいなぁ(笑)。

Miz そうなんです(笑)。そんな感じで。ま、『スカイライト』ももちろん観ましたしね、 NTLで。

Sin 素晴らしかった。

Miz ね。

Sin でもこの『橋』って、ほんまに挑み甲斐に満ちた作品なんやね。

『橋からの眺め』に、マリリン・モンローの影あり?

Miz この作品書いたアーサー・ミラーさんもちょっと紹介しとく?

Sin あ、そうね。

Miz アーサー・ミラーさんはね、20世紀のアメリカ劇作家ビッグ3の一人と呼ばれてます。

Sin はい。

Miz でもビッグ3とかいうよりも、たぶんこっちの方が「へぇー、そうなんや」と思われると思うんですけど、マリリン・モンローの旦那さん、の一人。

Sin あ、ごめん。それは知ってた。

Miz いや、分かるけど。知らない方がいらっしゃったらね。

Sin あ、そうね。

Miz これね、あれですよ。この作品自体が1955年に初演された。で、マリリン・モンローさんと結婚されてたのが1956年から1961年。まぁ短いね、5年間。ちょうどマリリンがそばにいた頃に作った作品ってことだよ。

Sin あ、それ聞くと楽しいね!

Miz ほらー。よかったぁ。

Sin それは素晴らしいね。あぁ、なるほどねー。

Miz なんかちょっと、それも関係してるのかしらみたいな。作品にね。

Sin 今ちょっと影が濃くなった。

Miz 誰の?

Sin マリリンの影が濃くなったよ。

Miz まぁ私はですね、昨年からうるさく『スマッシュ』『スマッシュ』言うてましたけども。アメリカのドラマですね。

Miz この、マリリン・モンローを題材としたミュージカルを作るドラマにハマってましてね。マリリンにはけっこう思い入れがありまして。だからそれを知った時に「おおー!」って思った。

Sin なるほどねー。それでちょっとあの人物造形に合点がいった。

Miz でしょでしょ? そうなのですよー。

Sin ナイス情報。

Miz あ、よかった。そんな喜んでもらえるとは。あと、もちろん『橋からの眺め』は有名ですけども、他にも「あー、聞いたことある」と思われる作品で有名なやつ紹介すると、さっきも言いましたけど『るつぼ』。

Sin うん。

Miz あと、『セールスマンの死』。有名でしょ?

Sin これねー。よく聞くけど、ほんっとに申し訳ないけど、私この『橋からの眺め』含め初体験でした。

Miz 全然観たことなかった。

Sin 日本でもやられてるけど、馴染みがそんなにないんかな。新劇系の方がやられてる印象はあるけど。

Miz あと堤真一さんとかもされてましたけども。

Sin あ、そうかそうか。でもそれ観れてないから、今回初体験。恥ずかしながら。

Miz 私も。ね、演劇なんて本当に映画と違ってDVDとかで観ることもなかなか叶わないし、その時その場所に行けなければ体験できないことだから、ロングランしてる作品は別として初体験が多くなってしまうのは、それは仕方がないなと思うので。今回、逆に初体験とはいえ出会えて良かったなと思った作品でした。

Sin ……あ。ちょっとさっきのやつ、今掘り返してもいい?

Miz いいよいいよ。

Sin そのアーサー・ミラーさんがマリリン・モンローと結婚してたっていうの、『マリリン 7日間の恋』っていう映画がございまして。

マリリン 7日間の恋 [DVD]
マリリン 7日間の恋 [DVD] by Amazon

Miz そうなんですか。すごいね、それ一瞬で喋りながら検索したの?

Sin うん。

Miz さすがだね。さすが検索の鬼。

Sin いや、なんか観たなーって思って。これ、マリリン・モンローさんとローレンス・オリヴィエさんが共演された時の。

Miz おぉ。まさにローレンス・オリヴィエさんね。

Sin ローレンス・オリヴィエをケネス・ブラナー様が。

Miz 様(笑)。ケネス・ブラナー様が。

Sin 演じられてて。で、ちょっとその、マリリン・モンローが不安定になっちゃったりとかして撮影に来たり来なかったりみたいなので、振り回されていく……。

Miz 見た見た、『スマッシュ』でその下り。

Sin で、お迎えに来る旦那さんアーサー・ミラー役でダグレイ・スコットさんが出てらっしゃいました。

Miz あらまぁ、皆さん。何? 『マリリン・モンロー』?

Sin 『7日間の恋』。エディ・レッドメインくんとか出てる。ドミニク・クーパーさんも出てるよ。

Miz 皆さんこれ、注目っすよ。

Sin その辺り気になったら、この映画見たら「あ、こういうことか」ってちょっと繋がるかもしれない。

Miz 分かるかもしれないね。あー、ちょっと気になる。

Sin これ面白かったのでぜひぜひ。

Miz 本当だね。……観たの?

Sin 観た観た。ダグレイ・スコットさん大好きだもん。

Miz なんでも観てるな。

Sin なんでもて。

舞台は、激動の1955年。

Miz ま、この作品が初演された1955年、これどういう年だったんでしょうかってことで、気になって調べてみました。

Sin 東京オリンピック。……違うな。

Miz 日本的にいく? じゃ、日本的に馴染みのあるやついきますね。「集英社が、少女漫画雑誌『りぼん』を創刊」! イェー!

Sin 馴染めっちゅうの。もうちょい馴染めっちゅうの。

Miz じゃあね、「広辞苑、初版発行」! イェー!

Sin イェー! おい! 初版なんぞ見たことないわ。

Miz 「ヘレン・ケラーが来日」。

Sin あぁ、そう!

Miz ていうか来日してたんだね、ヘレン・ケラーさん。知らんかった。

Sin 記録映像は見たことあるけど。

Miz アメリカ的にはね、「カリフォルニア州アナハイムにディズニーランド開園」。

Sin えー、すげぇ。

Miz そして、「アメリカの俳優ジェームズ・ディーンが交通事故死」。

Sin あー、そうですか。55年ですか。

Miz ジェームズ・ディーンって交通事故だったんだね、知らなかった。

Sin そうだよ。そうですよ。

Miz っていうのが1955年。

Sin ぐらいの年に起こった出来事か。

Miz ま、けっこう不安定な時期で、戦争が1945年に終わって、まだアメリカ的には人種的な問題があったりとかして、自由を叫んでる時代だったりもして。

Sin そうだね。

Miz で、今回のお話の大きな縦軸、テーマでもあったように、移民がどんどん来ていたと。

Sin 世界的にまだまだ貧しい国がいっぱいあったんやろうね。

Miz そうそう。っていう、そういう時代に作られた作品。

Sin 舞台はニューヨークのブルックリン。

Miz そうです。ブルックリンのレッドフックっていうところみたいです。

Sin あ、それは実際にある地名なんかね?

Miz んー、分かんない。粗筋いっとく?

 (※レッドフック、実在の町でした。無知ですみません! ってことで、今のレッドフックの様子が紹介された素敵なレポートをご紹介します。だれも書かない★ニューヨーク1%未満★「週末はレッドフックへ」

Sin お、教えて。

お待たせしました。『橋からの眺め』、やっとこさ本編レビュー開始!

Miz 「ニューヨークはブルックリンのレッドフックに暮らす、イタリア系移民のカルポーネ一家。夫のエディ、妻のビアトリス、そしてふたりにとっては姪であるキャサリンの3人は、つつましくも愛にあふれた生活を送っていました。そんな一家の前に現れたのは、イタリアからの密航者マルコとロドルフォ。」彼らはですね、いとこにあたるのかな?

Sin うん。って言ってたね。

Miz 奥さんの方のいとこ、だそうです。「同じイタリアの血を持つ者のよしみということで、マーク・ストロングさん演じるエディはふたりをかくまうことに決めました。マルコは祖国に妻子を残してきた身。一方ロドルフォは、一見派手な遊び人風で、ロドルフォの一挙一動が気に食わないエディ。しかしエディが溺愛するキャサリンは、ロドルフォに恋をしてしまうのだった……」っていうあらすじ。

Sin もうね、これ聞くだけでドキドキするよね。

Miz 胸が締め付けられる、今。言いながらね、色々思い浮かんでスムーズに喋れなかった。

Sin (笑)色々考えながらね。

Miz 「あー、そうやった、そうやったよね」と思いながら。噛み締めながら読みましたけど。

Sin うん。

Miz でもさ! この冒頭ね、書いてますけど、「貧しいながらも幸せに暮らしている」。だけどさ、のっけから気持ち悪かったよね。

Sin 緊迫感、すごかったね。

Miz いやもうさ、明らかおかしいやん。エディがさ、姪っ子触りまくるの。

ntlive.nationaltheatre.org.uk

ntlive.nationaltheatre.org.uk

Sin ていうかあれどっちなんやろうって思って。

Miz どういうこと?

Sin 姪っ子が、ちょっとなんか……。

Miz 誘惑してる的な?

Sin 無意識やとは思うねんけど。メス過ぎて。

Miz はぁ、メスと評するか(笑)。

Sin スゲェなこいつって。それを、さっき聞いた情報でマリリン・モンローの、アメリカの、というか世界のセックスシンボルと言われてたマリリン・モンローが、ああいう人だったのかなっていう。

Miz うーん。

Sin 周りの人たちをあんな感じに虜にしていった、魅力的な女性やったのかなっていうのがふっと、やっぱり被さるわけじゃない。

Miz そうね、そうね。この姪っ子のキャサリンと、あともう一人女性が登場してますけど。奥さんのビアトリス。この二人の対極っぷりっていうのが半端なくて。キャサリンの方にも、もちろんマリリンの少女性的なものがね。

ntlive.nationaltheatre.org.uk

ntlive.nationaltheatre.org.uk

Sin 無邪気で天真爛漫。ちょっと小悪魔。

Miz うんうん。それがあるけども、そのビアトリスの方にも、なんかリアルなマリリンの片鱗がやっぱり投影されてたりするのかしらって。

Sin テンション高い時のマリリンと、ちょっと、何て言うのかしらね、マイナス方向に入ってしまった時のマリリンなのかなって。

Miz ねぇ。勝手な想像やけどね。

Sin ま、なんかちょっとご機嫌屋さんやった、みたいなことはよく聞くので、なんかそういう印象もね。一人の女性の二面性に人格を持たせたっていう。で、それに翻弄されていく男ども?

Miz 男どもね。

Sin なのかなーって思っちゃったね。

Miz うん。

Sin でも最初さー、本当にシンプルな四角い舞台で、いきなり男の人がさ、シャワー浴びてるってどうよって思わんかった?(笑)

Miz いやいや、あの(笑)。

Sin びっくりだよ!

Miz 私の鑑賞後のメモには、「いきなり裸」って書いてある(笑)。いや、それはすごかったね。

Sin あのインパクトすごいなって。

「三方囲み舞台」、その意味は?

Miz あの、舞台がね、三方囲み舞台で。ヤング・ヴィクシアターの時はたぶん自由に座席が組めるので、真ん中にドンって舞台を置いて、で、周りに客席ってしてたと思うんだけど。今回収録されてるのはヤング・ヴィクの次にやったウィンダムズシアターっていうところのヴァージョンで。普通の舞台の上に客席がある状態になってて。すごかったね。無理矢理やなーってちょっと思ったけど。

Sin あそこ座ってみたいわって。

Miz でもね、やっぱり既製の台本というものにおいてどういう演出で来るんかって思った時に、舞台セットっていうのはすごく注目度の高い項目で。「あ、三方囲みで来ますか!」って私はちょっと思って。「このステージングの意味は何なんやろう」って考えながら見てた。

Sin そうやね。

Miz あれ、別に普通にやってもいいと思う。

Sin 普通は普通にやりはるんちゃう?

Miz 普通は普通にやるけど。違う違う。だから、あのシンプルさは残したまま、別に三方じゃなくてもいいんじゃないかなって思ってん。

Sin うん。

Miz カメラ自体はやっぱり正面を基準として撮影されてたなって思ったので。今回の撮影がね。

Sin そうやね。

Miz サイドから観る人たちっていう、その見え方がどうこうっていうんじゃなくて、あそこに人がいるってことが必要だったのかな、とか。それをちょっと思ったんだよね。

Sin ちょっと印象的に、クソ間違ってたらごめんなさい。

Miz 「クソ間違ってたら」って、あなた! そんな言葉遣いを(笑)。

Sin 失礼いたしました。お下品でございました。

Miz (笑)。

Sin その、移民が罪なことなので隠れなきゃいけないっていうのが大前提としてテーマにあって、それをご近所の目とか、何て言うの、衆人環視?なのかなとか。あと、どこに起こっても、いつ誰の身に起こっても不思議じゃない物語やから、それも本当に隣のお家を覗き見してる見え方かなって。

Miz あぁ。

Sin 囲み舞台ってお客様同士が目に入るから、野次馬っぽく感じてしまって。一瞬、「これこんな風に近所の人が見張ってたらめっちゃ怖いよな」って思って。

Miz んー、なるほどね。

Sin 「移民がいるぞ」って。その物語の中では違う風にバレたけど、これでチクられたらどうしようって前半すごく思ってた。

Miz なんか私は最初ずっと分かんなくって、なんでサイドにお客さん入れたんやろうってずっと思ってて。なんか途中から私が感じたのは、「なんか裁判所におるみたいやな」って。

Sin あー。再現VTRみたいな?

Miz (笑)。いや、再現Vって言うか。だから陪審員じゃないけど、実際にお芝居の中に絡んでくることは、もちろんお客さんやからないけど、その陪審員たちが見てる、みたいな。

Sin あの、弁護士のポジションもね。

Miz そんな風に感じたなー、と思って。ちょっとやっぱり深読みをね、せざるを得ない舞台の作りにはなってたな、と。

Sin そうやね。だからその裁判所っていう風に考えると、弁護士さんが最初はキリッと立って舞台の周りにしかいないのに、どんどん中に取り込まれていって、服装も砕けていくというかラフになって。

Miz そうなの、どんどん脱いでいくの。靴から始まって。

Sin ジャケット脱いで、でネクタイ取って袖捲るっていう。なんかもうマーク・ストロングさんと同じ格好になるんだよね。

Miz 最後ね。シャツとスラックス、そして裸足。

Sin で、袖をまくっている状態で。ってなってどんどん物語の中に入って、最後の方は舞台のところでチマッて座ってたやん。

Miz わからんかったよね、どこにおるか。

Sin その巻き込まれる感じとかっていうのは、それで表現するんやろうなーとかって。

Miz うん。

Sin それやったら、裁判とかも入り込んじゃってて大変なことになってるのを模した、みたいな感じかなって。

柵、黒壁、扉、太鼓の音。

Miz そうやねー。で、その三方囲み舞台の中でどんどん物語が進められていくんだけど、その周りにね、ストーリーテラーでもある弁護士さんが。その周りっていうのは、囲み舞台をですね、文字通りベンチが囲んでまして。真っ白な舞台の周り三方を、座れるベンチ。

Sin 柵。

Miz 柵みたいな。

Sin いろんな目的のある柵。

Miz 椅子にもなるし、柵にもなるし、ま、いろいろなことに使える柵があって。で、奥には黒壁。そして真ん中に、扉に使えたりする捌け口が1個。

Sin 穴。

Miz ありましたね。その中で、ベンチの外から……。ちょっと待って(笑)。ちょっとだけ戻るけど、その最初ね、男二人のシャワーシーンから始まるって言ったけど、あの、緞帳ね!

Sin あー、そうだね。

Miz 緞帳が、その三方囲み舞台に合わせて作られたコの字型っていう、新しい緞帳見せられたなーって。あれが上がっていくんだよね。

Sin なんか箱が上がっていくみたいやったよね。

Miz そうそう、ちょっと面白かったけど。始めはその舞台の外に、ストーリーテラーである弁護士さんはいるんだよね。

Sin ずっと外でウロウロしてたと思う。

Miz 私たちに教えてくれる、今から何が始まるのか。

Sin だから、傍観者であり解説者であり、説明者っていう感じだよね、たぶん。

Miz そう。で、ずっとバックで不穏な音がずーっと鳴ってるの。延々鳴ってるの。

Sin 怖かったー、あれ。

Miz 冒頭のシャワーシーンでは曲が流れてて。その曲と、最後のクライマックスで流れた曲って一緒やった?

Sin あ、一緒やっけ?

Miz いや私、一緒かな、と思って。ちゃうかったらあれやねんけど。ちょっとアレンジ変えて、荘厳になってた気がするんやけど。……分からん!
ちゃうかったらごめんなさい。そんくらい、印象的な場面場面で何曲かメロディがちゃんと分かる曲っていうのは流れるんだけども。

Sin なんかオペラっぽい歌唱曲やったね。

Miz そうだね。その他はずーっとね、メロディがあるともないともつかない不穏な、音。

Sin そして太鼓の、音。

Miz ドゥン! っていう音がね。 ドゥドゥドゥンッ! っていうのが流れるんだよね。

Sin 怖いわー。

Miz まぁでもね、そんな三方囲み舞台にマーク・ストロングさんがお仕事から帰ってきて、お家に戻ってきて、溺愛する姪のキャサリンに、「帰ってきたぞー」みたいな。「さぁハグしよう」「わーい」「ギュ!」みたいなね。あのハグ(笑)。

Sin あれ、何をどうしたらああなるかっていうくらい飛び付いてたよね。

Miz 飛び付いてた。

Sin ニャンまげかって。

Miz ニャンまげニャンまげ! 「ニャンまげにとびつこう」のキャッチコピーの。ちょっともうね、デザイナーさんがちょっと残念なことになってしまってて。

Sin おうおう。

Miz おう、な感じなんですけどね。

Sin おう。いや、ニャンまげに罪はない。

Miz ないよね。そうだよね。ほんまにニャンまげに飛び付くみたいに。

noproblem.co.jp

noproblem.co.jp

Sin もうあかん。ニャンまげとしか見えなくなってきた(笑)。

Miz マーク・ストロングさんに飛び付くキャサリン。始めはね、観客も飛び付き方にフフッて笑ってたり。

Sin まぁ大層威勢のいい飛び方してるからね。

Miz そうそう。だけども、ちょっと話をしているうちに、妻のビアトリスも来て、微笑ましく3人で話してるんやけども、ふとマーク・ストロング演じるエディとキャサリンに目を移すと、キャサリンのミニスカートから伸びた脚をさすりながら、こう会話しているエディっていう。「うわ、キモ!」と思った。

Sin キャサリンの方も寄って行ってるからね、あれ。

Miz あれキモかったー(笑)。

Sin 座ってるのにニャンまげ状態やからね。

Miz (笑)。あれもね、ちょっとね、シンプルなセットやから想像力とかがやっぱり働くじゃない。あれはねー。さっきね、中学生高校生、観るべきだよって言ったけど、あかんな。

Sin 見ちゃダメ(笑)。

Miz R18やな。

Sin 巻き戻さなあかんな。「ダメですよ」って言わな。

Miz あかんわー。見たあかんわ。っていうくらい、別にすっごい行為をしてるわけでは決してないんだけども。「あかん、見たらあかんもん見たー」みたいな状態にね。

Sin あれが、5歳くらいの女の子ならありなんやろなって思う。

Miz えー? あの太腿とか撫で回すやつ?

Sin いや、太腿撫でるのはちょっと置いとこう?

Miz あ、飛び付くやつ。

Sin そう。

Miz それはありだよね。

Sin お父さん大好きで擦り寄って行って。

Miz お膝の上に座ったりとか。

Sin みたいなのって、5歳の女の子やったら超微笑ましいなって思うねんけど。

Miz キャサリン、18? 19?

Sin 8かな。7、8かな。

Miz そんなもん? ですから。大人の女性っすよ。

Sin いや分かるよ。マーク・ストロング演じるエディが格好良いのは重々承知。やけど、お前ちょっと女としての芽生えはないのかいっていう。

Miz ベアトリスのお姉さんの娘になるのかな? を、引き取ってずっと育ててるから。もちろんそれまでの年月というか、本当に仲良く3人で、我が子のように育ててきたんだな、溺愛してるんだなというのがすごくよく分かるんだけども、その一方で「あれ? なんかおかしくない?」っていうその奇妙な気持ち悪さを、あの爽やかなシーンで見せつけてくる、このイ……ヴォ・ヴァン・ホー……ヴェ(笑)。なんて呼んだらいい?この方。

Sin イヴォ?

Miz イヴォさんって呼んだらいいの? ホーヴェさん?

Sin ミスター ホーヴェ。

Miz じゃ、私はイヴォって呼ぶわ。

Sin 分かった。

「靴を履く」という行動から生まれる衝撃。

Miz イヴォね。イヴォはすごいなぁって。もうその瞬間に「あー、こいつやってくれるやつや」っていうのを感じたんですよね。で同時に、誰もが思うことやと思う、みんなが思うと思うけど、「他の人たちのヴァージョンでは、他の演出家のヴァージョンでは、初演版は一体どんなんだったんだろう?」って。あの瞬間にもう思ったから。

Sin だから、悔しいって最初に思っちゃって。私、これのスタンダード知らん。

Miz ねぇ。私も知らない。

Sin だから、この斬新さを……。いや、斬新やなって今でも思ってるねんけど。もっとすごい感じ方ができたはずやのに。スタンダード3パターン観てたらもっと面白かったんやろうなっていう悔しさが。

Miz 3パターン?

Sin だからさ、定番やからさ、いろいろやってるやん。

Miz やってるやってる。

Sin その定番の中でもたぶんね。

Miz 3パターンくらいね。

Sin 流派があるやん?

Miz あるある。あるよね(笑)。

Sin それを知ってたら、この演出の斬新さとか、このシンプルな舞台の中でやるってことがどんなにギリギリしたものかっていうのが。スタンダードはスタンダードの衝撃がたぶんあるからさ、そっちも味わってみたいなっていうのもあるねんけど。

Miz 確かにそうやね。あと特徴的なのが、全員が裸足。

Sin 一回だけ靴履いたよねー。

Miz そう、姪っ子な。

Sin 姪っ子ちゃんがなぜかヒールを履いてくるっていうシーンはあったけど、その他は弁護士に至るまで、どんどん裸足。

Miz そう。でも私、その姪っ子の靴を履いてきたシーン、新しいなーって思って。要はその靴はハイヒールだったわけなんですけども、そのハイヒールを履くことで姪っ子の恋心の芽生え?男性に対して女性としてのアピールをしたいっていう、そういうのを表してたと思うんだけど。

Sin うん。

Miz 普通さ、着ているものを脱いだりとかすることで表現するのってよくあることだけど、身に付けることで、今まで裸足だったものにヒールの高い靴を履かせることでそれを表現するのが新しいなって。なんなら靴を脱いで表すことを。

Sin そうやね、普通はね。

Miz 靴を履かせて表現してるっていうのが、「あー、おもろいなー!」って。

<続きを読む>

Podcast 第49回を文字起こし:【ネタバレ】NTL『橋からの眺め』レビュー(2)に続く→

Push7で更新情報を受け取る
(Last Update:2016年10月11日)
By

人気記事ベスト10

Profile image
普段はジャパン演劇界の片隅で公演やイベントをプロデュースしたり、デザインしたり、パンを捏ねたり、色々手がける何でも屋さん。小さな頃から洋画が大好きで、ジャニーズアイドルには見向きもせずハリウッドスターを追いかける少女時代を送り、今に至る。『ロード・オブ・ザ・リング』が好き過ぎてNZを訪問したことをきっかけにロケ地巡りに目覚め、『SHERLOCK』のロケ地ロンドンを訪れて以来、英国の虜となる。今注目の俳優は、ヒュー・ジャックマン/ジェイク・ジレンホール/ジャック・ダヴェンポート/コリン・ファース/ベネディクト・カンバーバッチ/タロン・エジャトンなど。ただ今、ロンドンとの心理的距離を縮めるべく英会話を猛勉強中。
Profile image
「ハリウッド、なにそれおいしいの?」が合言葉で、ほんの数年前までは知ってる海外俳優はゲイリー・オールドマンとロバート・ダウニー・Jrだけと言ってもいいほど洋画に興味が無かったけれど、友人に誘われうっかり参加したNY旅行をきっかけに洋画沼にハマる。そうこうしているうちにロンドンの魅力に取り憑かれ、足掛け2年で近所のTSUTAYAの英映画ラインナップを制覇。今やAmazon.UKから次々と新作を輸入し楽しむ日々を送っている。今注目の俳優・監督は、ショーン・ハリス/エディ・マーサン/ロリー・キニア/ジュリアン・リンド=タット/トーマス・アルフレッドソン。ロンドン活動に勤しむ一方で、舞台女優の顔も持つ、マイペースで奔放な自由人。